Copd
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは

「慢性に経過する(Chronic)、気道の内腔が狭くなる(Obstructive)、肺の病気(Pulmonary Disease)」で、肺の生活習慣病とも呼ばれる進行性の肺疾患です。
以前は「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれていた病気も、現在ではCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に含まれます。
近年、COPD患者は世界的に見ても増加傾向にあり、WHO(世界保健機関)の推計では、2030年までにCOPDは世界の死因の第3位になると予測されています。
また、厚生労働省の「人口動態統計の概況」によると、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎と肺気腫)による死亡者数は、令和4年(2022年)には1万8,523人となり、死因全体の上位に位置付けられています。その深刻さは年々増しています。
COPDは、早期発見・早期治療が重要な病気です。症状にお悩みの方や、喫煙習慣のある方は、お気軽にご相談ください。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状
主な症状としては、慢性的な咳や痰、そして体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難が挙げられます。
特に、起床時や運動時に咳が出やすい傾向があります。また、呼吸をする際にゼーゼーまたはヒューヒューという音が聞こえる喘鳴や、胸が締め付けられるような圧迫感を感じることもあります。
病状が進行すると、安静時にも呼吸が苦しくなる呼吸困難や、常に疲れたような疲労感が現れます。
さらに、食欲不振や体重減少が見られることもあります。これらの症状は、COPDの進行とともに徐々に悪化することが多く、特に息切れは日常生活に大きな支障をきたすため、早期の診断と適切な治療が重要です。
COPDは、自覚症状はあるものの、進行がゆっくりで病気と認識されにくいのが特徴です。また、症状は他の呼吸器疾患と似ていることもあるため、自己判断せずにお気軽に当院までご相談ください。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因
COPDの主な原因は、なんといっても喫煙です。COPD患者の9割以上が喫煙者であることからも、その関係性の深さが分かります。喫煙者は非喫煙者に比べてCOPDを発症するリスクが約10倍も高くなり、喫煙年数や喫煙量が多いほどリスクはさらに高まります。
また、喫煙者本人だけでなく、周囲の人に影響を与える受動喫煙もCOPDの発症リスクを高めることが知られています。
喫煙以外にも、大気汚染もCOPDの原因の一つとして挙げられます。大気中の有害物質(PM2.5、窒素酸化物、硫黄酸化物など)を吸入すると、肺に炎症が起こり、COPDを発症するリスクが高まるのです。特に、交通量の多い場所や工場地帯など、大気汚染がひどい場所での生活は注意が必要です。
その他に、特定の職業環境で発生する粉塵や有害物質、遺伝的要因、小児期の呼吸器疾患(喘息など)や、加齢による肺機能の低下もCOPDの発症に影響を与える可能性があります。COPDの発症には、このように様々な要因が複合的に関与していると考えられています。
喫煙が最大の原因であることは間違いありませんが、その他の要因もCOPDの発症に影響を与える可能性があることを覚えておきましょう。
慢性気管支炎
慢性気管支炎は、3か月以上にわたって持続する咳や痰の症状が、2年以上連続して繰り返される状態を指します。主な原因は喫煙であり、気道の慢性的な炎症により痰の分泌が増加し、気道が狭くなることで呼吸が困難になります。
また、大気汚染や感染症も関与します。
症状としては、持続的な咳や痰が見られ、特に朝方に強くなることが多いです。また、進行すると運動時に息切れを感じることがあり、ひどくなると日常生活の軽い動作でも呼吸困難を引き起こすことがあります。呼吸時に笛のような音(喘鳴)が聞こえることも特徴です。
慢性気管支炎は、40歳以上の中高年の男性に多く見られますが、近年では女性の喫煙率の増加に伴い、女性の患者も増加傾向にあります。
特に長年の喫煙歴がある方や、大気汚染や粉塵の多い職場で働く方は発症リスクが高まります。
肺気腫
肺気腫は、肺の肺胞(ガス交換を行う小さな空気袋)が破壊され、弾力性を失うことで呼吸がしづらくなる疾患です。肺胞の破壊によって酸素の取り込みが難しくなり、慢性的な呼吸困難を引き起こします。主な原因は喫煙であり、遺伝的要因も関与します。
初期の段階では運動時の息切れが目立ちますが、病状が進行すると安静時でも呼吸が苦しくなります。また、呼吸困難を避けようとすることで食事量が減少し、体重減少や筋力低下が見られることもあります。胸の圧迫感や不快感を感じることもあり、進行すると呼吸の補助筋を使用するため、首や肩の筋肉が目立つようになります。
肺気腫も慢性気管支炎と同様に、40歳以上の喫煙歴のある男性に多く見られますが、女性の患者数も増えています。
特に家族歴がある方や、長期間にわたり職業的に粉塵や化学物質に曝露されている方もリスクが高いとされています。