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不整脈

不整脈とは

不整脈とは、心臓のリズムが乱れる状態を指します。正常な心臓は、規則正しいリズムで収縮と拡張を繰り返しますが、不整脈があると、心拍数が速すぎたり(頻脈)、遅すぎたり(徐脈)、またはリズムが不規則になったりします。
不整脈には軽度でほとんど影響のないものから、突然死を引き起こす危険なものまでさまざまなタイプがあり、症状やリスクを正しく理解することが大切です。
不整脈は、加齢とともに発症しやすくなり、高齢者に多くみられる疾患ですが、ストレスや生活習慣の影響で若い世代にも発症することがあります。特に心房細動(しんぼうさいどう)というタイプの不整脈は、脳梗塞のリスクを高めるため注意が必要です。

不整脈の治療には、薬物療法のほかに、カテーテルを用いて異常な電気信号を焼灼(しょうしゃく)する「カテーテルアブレーション(電気的焼灼術)」が行われることもあります。
当院で対応が難しい症例につきましては、適切な検査・治療を受けられる専門の医療機関をご紹介いたしますので、安心してご相談ください。

心房細動とは

心房細動とは、心臓の上部にある心房が正常に収縮せず、小刻みに震える(細動する)ことで、心臓全体のリズムが乱れる不整脈です。通常、心臓の電気信号は一定のルートを通って伝わりますが、心房細動ではこの電気信号が異常に速く、無秩序に発生します。その結果、心房の働きが不十分となり、心臓内に血液が滞留しやすくなります。この状態が続くと、血液の流れが悪くなり、血栓(血のかたまり)ができやすくなるため、脳梗塞の大きなリスクとなります。
日本では、70歳以上の約5~10%が心房細動を発症するとされており、加齢とともに有病率が増加します。世界的にも患者数は増加しており、高齢化社会において重要な疾患の一つと考えられています。

不整脈の症状

不整脈の症状は、動悸、息切れ、胸の不快感、めまい、ふらつき、失神などがあります。しかし、無症状の場合も多くあります。
最も多い症状は動悸で、「心臓がドキドキする」「胸がザワザワする」といった違和感を感じることがあります。頻脈(脈が速くなるタイプ)では息切れやめまい、ふらつきを伴うことがあり、重症の場合は意識を失うこともあります。一方、徐脈(脈が遅くなるタイプ)では、倦怠感、息苦しさ、めまいが主な症状となります。
また、不整脈の中には、突然意識を失う「失神」や、胸の痛み(狭心症に似た症状)を引き起こすものもあります。特に、脈が極端に遅くなったり、心室細動という致死的な不整脈が起こると、心停止に至ることがあるため、緊急の対応が必要です。

不整脈の原因

不整脈の原因はさまざまで、加齢、生活習慣病、心臓の病気(心筋梗塞、狭心症、心不全、弁膜症など)、甲状腺の病気、ストレス、睡眠不足、カフェインやアルコールの過剰摂取などが関係しています。
加齢に伴い心臓の電気信号の異常が増えるため、高齢者ほど発症しやすくなります。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病があると、動脈硬化が進み、心臓に負担がかかることで不整脈が起こりやすくなります。

不整脈の検査と治療

不整脈の診断には、心電図検査が基本となります。発作が一時的にしか現れない場合は、24時間ホルター心電図を装着し、長時間の心電図記録を行います。必要に応じて、運動負荷試験や心エコー検査、心臓CT・MRIなどを用いて、心臓の構造や血流の異常を詳しく調べます。
治療方法は、不整脈の種類や重症度によって異なります。軽度のものは特に治療を必要とせず、経過観察のみで済むこともあります。しかし、症状が強い場合や、脳梗塞のリスクが高い場合には、薬物療法や手術が必要になります。

薬物療法では、脈の異常を抑える抗不整脈薬や、心拍数を安定させるβ遮断薬、カルシウム拮抗薬が用いられます。心房細動がある場合には、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)が処方され、脳梗塞の予防が行われます。

薬で十分な効果が得られない場合や、重症の不整脈では、カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)が行われることがあります。
これは、異常な電気信号を発生させる部位を特定し、高周波や冷凍によって焼灼する治療法で、特に心房細動の患者には高い効果が期待できます。また、脈が遅くなりすぎる徐脈の不整脈では、心臓のリズムを安定させるためにペースメーカーの植え込みが必要になることもあります。
一方で、心室細動などの致死的な不整脈がある場合には、植込み型除細動器(ICD)を埋め込むことで、異常な心拍を電気ショックで正常に戻す治療が行われます。

24時間ホルター心電図検査

24時間心電図検査は、小型の心電図記録装置を装着し、日常生活を送りながら心臓の電気的活動を記録・解析する検査です。
長時間の記録により、心拍数の変化や不整脈の有無を詳しく調べることができます。
動悸や胸の痛みなどの症状がある際、そのタイミングの心電図波形を確認することで不整脈の早期発見に役立ちます。
また、自覚のない不整脈も記録されるため、隠れた異常の発見にも有効です。
最新の機器では、検査中の入浴も可能で、清潔を保ちながら検査を受けられます。

不整脈の予防

不整脈の予防には、生活習慣の改善が重要です。
具体的には、禁煙、バランスの取れた食事、適度な運動、適切な体重維持、ストレス解消、十分な睡眠、過度な飲酒やカフェイン摂取を控えるなどが挙げられます。また、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などの生活習慣病を予防・管理することも大切です。

不整脈には軽度で無害なものから、命に関わるものまでさまざまなタイプがあります。動悸や息切れ、めまいなどの症状を感じた場合は、放置せずに当院を受診してください。
特に、高齢者や生活習慣病を持つ方は、脳梗塞や心不全のリスクが高まるため、日頃から健康管理を意識し、定期的な検査を受けることをおすすめします。