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Bronchial-asthma

気管支喘息

気管支喘息とは

気管支喘息(きかんしぜんそく)は、気道(気管支)が慢性的に炎症を起こし、さまざまな刺激に過敏に反応することで、発作的な咳、息苦しさ、喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーという音)、胸の圧迫感などを引き起こす病気です。発作時には気管支が収縮し、空気の通り道が狭くなることで呼吸が苦しくなりますが、治療によってコントロールすることが可能です。
日本では約800万人の喘息患者がいると推定されており、小児喘息は5~10歳の男児に多く、成人喘息は40歳以上の女性に多い傾向があります。
特に、小児喘息の約半数は思春期までに自然に改善しますが、成人喘息では慢性化しやすく、適切な治療を受けないと発作が繰り返され、重症化することもあります。
世界的にも喘息は広く見られる疾患であり、年間約40万人が喘息による合併症で死亡していると報告されています。

気管支喘息の症状

喘息の症状は、咳、息苦しさ、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという音)、胸の圧迫感が代表的です。特に夜間や早朝に症状が悪化しやすいのが特徴で、気温の変化や風邪、運動、ストレス、ホコリや花粉などの刺激で発作が起こることがあります。
発作の程度は人それぞれで、軽い場合は咳が続くだけのこともありますが、重症になると息が吸えなくなるほどの呼吸困難を引き起こすこともあります。
特に「咳喘息」と呼ばれるタイプの喘息では、咳が長く続くだけで喘鳴がほとんどないため、風邪や他の病気と間違えられることもあります。咳が数週間以上続く場合は、喘息の可能性も考えられますので、一度ご相談いただくことをおすすめします。

気管支喘息の原因

喘息は、さまざまな要因が組み合わさって発症します。
ご家族に喘息やアレルギー体質の方がいる場合は、遺伝的に喘息を発症しやすいことが分かっていますが、それだけが原因ではありません。アレルギーを引き起こす物質(ダニ、ハウスダスト、カビ、ペットの毛、花粉など)や、タバコの煙、大気汚染、寒暖差、風邪やインフルエンザなどが、気管支の炎症を引き起こし、発作につながることがあります。
また、ストレスや運動、食品に含まれる添加物などが影響することもあります。
特に、大人になってから喘息を発症する「成人発症型喘息」では、大気汚染や職場環境、ストレスが関与しているケースも多く見られます。

気管支喘息の検査と治療

喘息の診断には、症状の聞き取りや聴診を行い、必要に応じて呼吸機能検査(スパイロメトリー)や気道過敏性試験を行います。呼吸機能検査では、どの程度気管支が狭くなっているかを調べ、喘息かどうかを診断します。
また、アレルギーが関与している場合は、血液検査を行い、アレルギーの原因となる物質(ダニや花粉など)を特定することもあります。
治療は、喘息の重症度に応じて行います。喘息は発作がないときも気道に炎症が続いているため、発作を予防する長期管理薬(コントローラー)と、発作時に使用する救急薬(リリーバー)を使い分けることが重要です。長期管理薬としては、気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬が基本となり、重症の場合は長時間作用型β2刺激薬や抗ロイコトリエン薬を併用することがあります。発作が起こったときには、短時間作用型β2刺激薬(SABA)を吸入して、気道を広げて呼吸を楽にする治療を行います。
最近では、重症喘息の患者様向けに生物学的製剤(抗IgE抗体薬、抗IL-5抗体薬)といった新しい治療も登場しており、薬が効きにくい喘息にも対応できるようになっています。
喘息は適切な治療を続けることで、発作をコントロールし、健康な生活を送ることが可能です。

喘息は長く付き合っていく病気ですが、適切な治療を続ければ発作を抑え、日常生活を快適に過ごすことができます。
少しでも症状が気になる場合は、早めに当院を受診してください。
ご自身の喘息の状態をしっかり把握することが大切です。
咳や息苦しさに悩まされることなく、安心して毎日を過ごせるよう、一緒に治療に取り組んでいきましょう。何か不安なことがあれば、いつでもご相談ください。