Hyperuricemia
高尿酸血症
高尿酸血症とは

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が異常に高くなる状態を指します。尿酸は体内でプリン体が代謝される際に生成される物質で、通常は腎臓を通じて尿として排出されます。
しかし、尿酸の産生が過剰になったり、排泄機能が低下したりすると、血液中の尿酸濃度が上昇し、高尿酸血症となります。
高尿酸血症自体には自覚症状がないことが多いため、放置されがちですが、進行すると痛風の発症リスクが高まり、腎機能の低下や動脈硬化といった深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。近年、日本における高尿酸血症の有病率は増加傾向にあり、厚生労働省の調査によると、成人男性の約20%が高尿酸血症であると報告されています。特に食生活の欧米化や運動不足の影響で、若年層における発症率も上昇しています。
高尿酸血症の症状
高尿酸血症自体には明確な症状がないため、健康診断で指摘されることが多くあります。
しかし、尿酸値が一定のレベルを超えて持続すると、結晶化した尿酸が関節内に蓄積し、痛風発作を引き起こすことがあります。痛風発作は突然発症し、特に足の親指の付け根(母趾の中足趾関節)が激しく腫れ、耐えがたい痛みを伴うことが特徴です。
さらに、尿酸が腎臓に蓄積すると尿路結石や腎障害を引き起こし、長期的には腎機能低下のリスクが高まります。
高尿酸血症の原因
高尿酸血症の原因は、大きく3つのタイプに分類されます。まず、尿酸の産生が過剰になる「産生過剰型」は、プリン体を多く含む食品(肉類、内臓、魚介類、アルコールなど)の過剰摂取が原因となります。次に、「排泄低下型」は、腎臓が尿酸を十分に排泄できないために起こり、遺伝的要因や腎機能の低下が関与しています。
最後に、「混合型」は、尿酸の産生増加と排泄低下の両方が関与するケースであり、最も多く見られるタイプです。
また、メタボリックシンドロームや肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病とも深い関連があり、これらの疾患を抱える方は特に高尿酸血症になりやすい傾向があります。ストレスや脱水状態も尿酸値を上昇させる要因となるため、日々の生活習慣の見直しが重要となります。
高尿酸血症の診断基準
高尿酸血症は、血液検査で診断されます。具体的には、血清尿酸値が7.0 mg/dL以上である場合、高尿酸血症と診断されます。尿酸値がこの基準を超えていても、痛風発作などの症状がない場合は「無症候性高尿酸血症」と呼ばれます。
無症候性の場合でも、長期間にわたる高尿酸血症は血管や腎臓に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な管理が求められます。
高尿酸血症の治療法
高尿酸血症の治療は、生活習慣の改善と薬物療法の2つの柱で構成されます。生活習慣の改善として、まず食事管理が重要となります。プリン体を多く含む食品の摂取を控え、アルコール、とくにビールや焼酎などのプリン体含有量が高い飲酒を制限することが推奨されます。
また、十分な水分摂取を心がけ、尿量を増やすことで尿酸の排泄を促進します。適度な運動を継続することも、肥満を防ぎ、尿酸値の管理に役立ちます。
薬物療法としては、尿酸の産生を抑える薬(キサンチンオキシダーゼ阻害薬)や、尿酸の排泄を促進する薬(尿酸排泄促進薬)が使用されます。治療薬の選択は、患者の腎機能や生活習慣病の有無に応じて決定されます。痛風発作がある場合は、痛みを緩和するための非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが併用されることもあります。