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狭心症
狭心症とは

狭心症(きょうしんしょう)は、心臓の筋肉(心筋)に酸素を供給する冠動脈が狭くなり、血流が不足することで胸の痛みや圧迫感を引き起こす疾患です。主に動脈硬化が原因で発症し、心筋梗塞の前段階としても知られています。狭心症の発作は一時的であり、通常は数分で治まりますが、放置すると急性心筋梗塞へと進行し、生命に関わる危険な状態になることがあります。
日本では、狭心症や心筋梗塞を含む虚血性心疾患の患者数が年々増加しており、特に50歳以上の男性で発症率が高いとされています。しかし、閉経後の女性もリスクが上昇し、男女ともに注意が必要です。世界的にも心血管疾患は主要な死因の一つであり、早期発見と適切な治療が求められています。
狭心症の症状
狭心症の主な症状は、胸の中央に生じる締め付けられるような痛みや圧迫感です。この痛みは通常、数分間持続し、安静にしたりニトログリセリンを使用したりすると軽快するのが特徴です。痛みは左肩や腕、首、背中に広がることがあり、息切れや冷や汗を伴うこともあります。
狭心症には、主に「労作性狭心症」と「安静時狭心症(冠攣縮性狭心症)」の2種類があります。労作性狭心症は、運動や階段の昇降、寒冷時の活動などで心臓の酸素需要が増加した際に発作が起こります。安静時狭心症は、夜間や早朝の安静時に突然発生し、冠動脈の一時的な攣縮(れんしゅく:痙攣のような収縮)が原因となることが多いです。
症状は、数分から15分程度で自然に治まることが多いですが、30分以上続く場合は、急性心筋梗塞の前兆である可能性があるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。
狭心症の検査と治療
狭心症の診断には、心電図検査、運動負荷試験、冠動脈CT、心臓カテーテル検査などを行います。心電図は、発作時に異常が現れることが多いため、24時間ホルター心電図検査を使用することもあります。
治療方法は、症状の程度や血管の状態によって異なります。軽症の場合は、薬物療法が中心となり、血管を拡張する硝酸薬(ニトログリセリン)や、血流を改善する抗血小板薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬を使用します。
より重症の場合は、カテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション:PCI)を行い、狭くなった血管をバルーン(風船)で広げ、ステントを留置することで血流を改善します。動脈の狭窄が高度な場合には、冠動脈バイパス手術が必要になることもあります。
24時間ホルター心電図検査
24時間心電図検査は、小型の心電図記録装置を装着し、日常生活を送りながら心臓の電気的活動を記録・解析する検査です。
長時間の記録により、心拍数の変化や不整脈の有無を詳しく調べることができます。
動悸や胸の痛みなどの症状がある際、そのタイミングの心電図波形を確認することで不整脈の早期発見に役立ちます。
また、自覚のない不整脈も記録されるため、隠れた異常の発見にも有効です。
最新の機器では、検査中の入浴も可能で、清潔を保ちながら検査を受けられます。
狭心症の予防法
狭心症の発症や進行を防ぐためには、生活習慣の改善(動脈硬化のリスクを減らすこと)が重要です。
- 適度な運動を習慣化する(ウォーキングや軽い筋トレが効果的です)
- バランスの良い食事を心がける(塩分や脂肪の摂取を控え、野菜や魚を多く摂りましょう)
- 禁煙する(喫煙は動脈硬化を促進します。当院でも禁煙治療が受けられますので、ご相談ください)
- ストレスをためない(リラックスする時間を確保し、睡眠を十分にとりましょう)
- 定期的に健康診断を受ける(高血圧や糖尿病がないかチェックしましょう)
狭心症は、初期の段階で適切に治療を受ければ、心筋梗塞への進行を防ぐことができます。
しかし、放置すると突然の心筋梗塞を引き起こす危険があるため、胸の痛みや違和感を感じたら、我慢せずに当院までご相談ください。
早期発見と生活習慣の改善によって、健康な心臓を維持しましょう。