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Respiratory-insufficiency

呼吸不全

呼吸不全とは

「呼吸不全」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。しかし、これは単独の病名を指すのではなく、様々な病気によって呼吸機能が低下し、その結果として起こる状態を指します。
私たちの体は、呼吸によって酸素を取り込み、二酸化炭素を排出しています。しかし、何らかの原因でこのガス交換がうまくいかなくなると、血液中の酸素が不足し、二酸化炭素が過剰になります。これが呼吸不全です。

呼吸不全は、その経過によって「急性呼吸不全」と「慢性呼吸不全」に分けられます。

当院では、慢性呼吸不全の患者さんに対して、在宅酸素療法(HOT)を積極的に導入しています。在宅酸素療法は、呼吸不全の症状を改善するだけでなく、患者さんの生活の質(QOL)を大きく向上させる効果も期待できます。
在宅酸素療法を始められた患者さんには、定期的な診察を必ず受けていただき、呼吸状態をチェックさせていただきます。

慢性呼吸不全

慢性呼吸不全は、長期間にわたって徐々に呼吸機能が低下していく状態です。
原因としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、肺線維症、気管支拡張症、神経筋疾患、胸郭の変形などが挙げられます。

症状としては、息切れ(労作時息切れ、安静時息切れ)、咳、痰、呼吸困難、チアノーゼ、倦怠感、疲労感、食欲不振、体重減少などが現れます。

慢性呼吸不全の治療は、原因疾患の治療と呼吸機能の維持・改善を目的とします。薬物療法、酸素療法、リハビリテーション、栄養療法などが行われます。

在宅酸素療法(HOT)について

在宅酸素療法(HOT)とは、慢性呼吸不全などで血液中の酸素濃度が低下している患者さんが、自宅で酸素吸入を行う治療法です。在宅酸素療法は、息切れなどの呼吸器症状を軽減し、生活の質を向上させるだけでなく、運動能力の改善、生命予後の改善、入院回数の減少にもつながることが期待されています。

治療のメリットとして、自宅で治療できるため通院の負担が軽減されることや、症状が安定すれば日常生活をほぼ制限なく送ることができること、酸素吸入によって呼吸器症状が緩和され生活の質が向上することなどが挙げられます。

急性呼吸不全

急性呼吸不全は、数時間から数日のうちに急激に呼吸機能が低下する状態です。
原因としては、肺炎、喘息、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺塞栓症、外傷、薬物中毒などが挙げられます。
症状としては、呼吸困難、頻呼吸、低酸素血症、高炭酸ガス血症、意識障害、チアノーゼなどが現れます。急性呼吸不全は、緊急性の高い状態であり、早急な治療が必要です。
治療は、原因疾患の治療と並行して、呼吸管理が中心となります。酸素投与や人工呼吸器による呼吸補助が必要となる場合があります。